2018年2月22日木曜日

リスペクト

大杉漣さんが亡くなった。

今でも現役バリバリだったし、何と言っても66歳という年齢が若すぎるだけにショックも大きい。まだたくさんの作品に出て、いろいろな姿を見せてくれたに違いない。

報道などでは、北野武監督の「ソナチネ」や「HANA-BI」などの名前が出ているし、ずいぶん前にカンヌだったかどこかの映画祭で、「日本にはいったい何人のレン・オオスギがいるのか?」なんていう質問が出たこともあったと記憶しているので、やっぱり、1990年代以降の活躍が取りざたされることが多い。

だけど、僕には忘れちゃいけないと思う作品があるので、リマークしておく。

「シコふんじゃった。」や「Shall we ダンス?」などで知られる周防正行監督のデビュー作でもある

変態家族 兄貴の嫁さん

である。

この作品はカメラワークを含め、周防監督が敬愛する小津安二郎へのオマージュ、というかリスペクトに溢れている。大杉さんが演じるのも小津映画における笠智衆を彷彿とさせる人物。1984年公開のピンク映画だったので、さすがに僕がリアルタイムで観ているわけはないわけである(一応、強調しておく)が、後年観た折には、周防監督も若かったなぁ、と思うと同時に、小津映画を知れば知るほど、この作品のあらゆる部分がツボにはまって楽しいと感じた。マニアックだけど、マニアにはたまらない好品と言えるわけ。ちなみに多摩川沿いに住んでいる人たちには、映画の中の風景も楽しいはず。

実は、僕がすでに東京で働いていた1999年、地元・札幌の映画祭をボランティアとしてお手伝いしたことがあり、その時にこの作品を上映している。ゲストとして周防監督と、やはり小津監督を敬愛している韓国のホ・ジノ監督をゲストとして呼んで対談してもらったのを覚えている。


上の写真は、その映画祭の時に作られたTシャツ。確かあったと思って、昨夜探したら発掘された。周防監督とホ・ジノ監督のサインもプリントされている。

変態家族 兄貴の嫁さん」は、今ちょうど開催されている第68回ベルリン国際映画祭でも4K(!)で上映されているということなので、今後、みなさんが目にする機会もあるかも知れない。

ぜひ、この名作と大杉さんの絶妙な演技をお楽しみいただきたい。

そういえば、1999年の札幌での映画祭の後、周防監督と一緒に飛行機で羽田に戻り、新橋で別れたことを思い出した。何であの時、僕が新橋で電車を降りたのかは思い出せないけど。

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