2015年3月19日木曜日

根が張らないと花は咲かない

昨夜のワールドビジネスサテライト,大手ビールメーカーのクラフトビール市場参入報じたものでした。

キリン,アサヒに続き,サッポロも「ナショナルクラフト」という旗印のもと,クラフトビール市場参入を発表。一方,サントリーは新浪社長が「クラフトビールは,その地域でできるからこそ」と語るように,いまだ様子見。彼の考え方は今回のサッポロの方針とは真逆ですね。

クラフトビールを全国展開すること自体は悪くないわけですが,それはあくまで地元の地域における基盤がしっかりあってのこと。クラフトビールを一過性のブームに終わらせるのではなく,静かでも着実に市場を伸ばしていくためには,ローカルに根ざした安定したものづくりをしていく必要があるんじゃないでしょうか?そう考えているクラフトビール生産者も少なくないはず。

その意味で新浪さんの考え方には同感できる。彼の経歴を考えると,これまでの経験に基づく言葉なのかもしれません。一方,キリンやサッポロの考え方はどうだろう?果たしてどこまで先を読んでいるのか?

そもそもいかにクラフトビール市場が成長しようとも,ここ数年の大手の出荷量減少を補填するほどの規模にはならないはず。彼ら大手メーカーの戦略が今後どのくらい定着していくか?長続きしていくか?は注視する必要があるでしょう。

仮に大手がいずれクラフトビールから手を引く日が来ると仮定します。そのときにクラフトビール市場はどうなるか?

ブームが去ったように寒風が吹くのか?
そうではなく,大手離脱の影響などどこ吹く風と,決して大きくはなくても安定した市場を保つのか?

そのためには,やはり地域に根ざしたものづくりを行なっているクラフトブルワリーの存在が重要なのだと,個人的には思います。ローカルのファンに支えられて起こったさざ波が次々と連なって,市場全体の大きな波になるようなそんなイメージ。

サッポロの記者会見で時松営業本部長は,「クラフトビールは,どこで作っているかわからず安心感がない」「ナショナルブランドとしての安心感を加える」という発言をしました。これは全く逆

僕らからすると,クラフトビールは生産者の顔が見えていると思えるし,そうあるべき。野菜や果物と基本的には同じなんだと思います。その意味で,サッポロなんかの考え方は,大手スーパーが自社ブランドで「地元の手作り野菜」と銘打った商品を売るようなものなのかなぁ?とも思えてくる。でも,実際に大手スーパーに行くと,自社ブランドだけではなく,生産農家の顔が見える野菜も売られていたりするでしょ?やっぱり大事なのはそこなんだな,と思うわけです。ローカルに根ざした生産者の顔が見える戦略,これが求められるべきなんじゃないかなぁ?

誤解のないように繰り返しますが,クラフトビールを全国展開することを問題にしているんじゃない。海外にだってどんどん進出してもらっていい。だけれど,根っこはローカルにしっかりと張るべきじゃないか?だからこそ,花が咲き,実がなるんじゃないかと,そう思うんだけどな。

みなさんはどう思いますか?