2014年2月13日木曜日

与えるべきもの

今日は,高専における教育って何かということを考える機会があった。

技術者教育,特に実践的技術者教育とか言われるわけだけれど,それって一体何だ?

高専ができた50年前の当時と今とは社会の状況も産業の構造も違うし,技術も進歩している。

この学校で,学生は何を学ぶべきなのか?
この学校で,我々は何を教えるべきなのか?

特に情報工学などという怪しげな分野は,変化が激しいと言われ,時代の変化に適応するのは大変でしょう的なことを言われることもある。

でも,どうなんだ?
いかに社会が変わろうとも,新しい技術が登場しようとも,学校で我々が教えるべきこと,学生が学ぶべきことは,もっと普遍的なものなんじゃないだろうか?

我々がなすべきことは,社会に迎合した小手先の技術を教えることではないはずだ。そんなものはすぐに陳腐化する。そんなものを少なくともこの学校で教えてもあまり意味はない。それよりも,この分野のエンジニアとしてものを作るとき,ものを考えるときの基礎になる土台をこそ,しっかりと育むべきなんじゃないだろうか。見てくれは時代とともに変わるかもしれない。だけれど,芯の部分は,ブレちゃいけないように思うのだ。

実は,ウチのガッコのウェブサイトにもきちんと書いてある。
情報工学科の説明には

目覚しく技術革新が続く時代にあって,
将来の技術革新にも対応でき,
社会をリードできる人材を育てる

とある。 ま,これはこれでちょっと漠然としすぎてる感はあるわけだけれども,でも,そういうことなんだよ。

じゃ,我々がこの学校で学生に与えるべきものは何なのか?
実践的技術者教育って,何をすることなのか?

一言で語るべきではないのかもしれないけれど,誤解を恐れずあえて一言でいうと,

できるだけ多くのさまざまな機会を与える

ってことなんじゃないかと思う。言い方を変えると,経験値を高めてやるということ。

新しい世界に身を置くと多かれ少なかれ,さまざまなカルチャーショックを受ける。それでも経験値が高ければ,状況に早く適応することも,その環境下で能力を発揮することもできるはずだ。中身のつまった引き出しの多い奴が生き残る。そういう奴が即戦力として力を発揮するわけだ。

今ちょうど冬季オリンピックが開催されているが,スポーツだって同じこと。経験値が高い奴ほど,プレッシャーやピンチに強い。

僕らはそんな技術者を育てるべきなんだと思う。

企業でインターンシップをすることも,英語でプレゼンすることも,日々の実験や演習をすることも,レポート書くことも,教員室をノックして質問や相談に行くことも,部活で頑張ることも,もちろん,友達とバカ話することも,ぜーんぶ,経験。

僕ら教員の側は,時代の変化や学生の個性に合わせて,いろいろアプローチは工夫すべきだけれども,基本的になすべきことはこういう普遍的なことなんだよな,と他の先生方とディスカッションする中で改めて考えた次第。

というわけで,学生の皆さんには,そういうチャンスを自らドブに捨てるようなもったいない真似はしてほしくない。学生でいるうちに,できるだけいろんな経験を,いろんなチャレンジをしてください

あ,でも,酒とタバコはダメだよ。


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