2012年7月21日土曜日

数年ぶりの訪問

札幌出張も最終日。
今日は移動日だし,帰りの便までは時間の余裕があるので,懐かしい場所にやってきた。

そして,たいへん大切な場所でもある。

札幌にある小さな映画館。シアターキノ


学生時代はたいへんお世話になったところでもある。

実は,ボクとヨメはここの市民株主だったりする。


僕たちは結婚指輪を持っていない
その代わりに,当時募集していたここの市民株主になり,ボクが2株,ヨメが1株所有。
当時はもちろん,記念にもなるし,
学生時代お世話になったキノと代表の中島さんへの恩返しというつもりでもあった。

子供を連れて帰省してきても,なかなか映画館に足を運ぶ機会がなく,
ここを訪れるのは本当に久しぶりだった。

で,今日観た映画は,オーストラリアとイギリスの合作映画

「オレンジと太陽」 (Oranges and Sunshine)
(IMDbのエントリはこちら

久々に来た時に偶然こんな映画が見られるとは,
やっぱりオーストラリアには奇妙な縁がある
この映画,メルボルンから帰ってくる前に,チラシだけは目にしてた記憶がある。
公開は僕が帰国した後だったはず。

19世紀から1970年代まで,イギリスからオーストラリアに
子供達が集団で送り込まれ,強制労働や虐待を強いられていた,という
児童移民制度」と,それを世に知らしめたソーシャルワーカー,
マーガレット・ハンフリーズの姿を描いた実話に基づく劇映画である。
当時は英国政府も豪州政府も事実を否認していたが,
2010年までに両国首相が正式に謝罪した,暗黒の歴史でもある。
タイトルは,当時送り込まれた子供たちが
オーストラリアは太陽が輝き,毎朝もぎたてのオレンジが食べられる
という話を聞いていた,ということに由来している。
確かに,現在のオーストラリアは太陽がさんさんと輝き,(紫外線は強いけれども :-P)
毎朝,新鮮なオレンジも味わえるだろう。
一方で,いくつかの暗い歴史のことも僕は知っていたけれども,
これまでこの話はよく知らなかった。

ドキュメンタリーなら,暗い歴史と当時の誤った政策を糾弾する映画になるところだが,
あえて劇映画としたことで,被害者や主人公のパーソナルな部分に光を当て,
特に被害者の「自分は誰なのか?(Who am I?)」を知りたいという
思いにウェイトを置くことに成功している。
そのため,決して説教くさくなく,これが事実であるのか,という驚きとともに
ずっしりと重みのある人間ドラマとして本作を楽しむことができた。

監督は,かのケン・ローチの息子,ジム・ローチ
 個人的には,この作風,お父上の作品よりも好きかも… :-P

オーストラリアの澄み切った青空と海,
それとここで描かれる黒い歴史とのコントラストが胸に迫る。
 ボクが好きな演技派,エミリー・ワトソンの好演もあり,
ぜひみなさんにお薦めしたい佳作。


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