2010年4月12日月曜日

引き込まれ型

週末,「第9地区」という映画を見た。ヨメにタイトルを聞かれ,答えたところ,「キューチク」のところしか聞き取れなかったようで,キュウリとチクワで作ったおつまみかと思われた。おいおい。
で,映画の内容は酒の肴ではなく,南アフリカはヨハネスブルクの上空にエイリアンのUFOが停泊(っていうのか?)し,地上に降りたエイリアンの居住区が作られて....というような話。ま,ストーリーは置いといて,すごくエキサイティングな映画体験でした。設定がユニークだし,スピード感もある。ピーター・ジャクソンがプロデュースしたということもあって,その辺の影響も少し垣間見える感じでした。舞台が南アフリカというのもミソで,エイリアン居住区とかエイリアンお断りというような看板があったりとか,アパルトヘイトを思わせる設定に,人間が通ってきた歴史がエイリアンと人間の間に繰り返されているようなところも,ちょっとニヤリとさせられます。
しかし,僕が引き込まれたのは,そういうこともあるけれど,もっと別の話。映画の冒頭は主人公を映し出したビデオカメラのモニター映像として呈示されます。だから,ブレアウィッチ以来よく見られる疑似ドキュメンタリー風な匂いがしてくるわけ。ただ,ストーリーが動き出すにつれて,そういったタッチの疑似リアル風映像は見られなくなり,まさにリアルな現実として捉えられるような映像が主流になっていく。この辺の映像の変化と,観客(ここでは僕という主観者)がストーリーに引き込まれ,物語を疑似体験していくようなタイミングがぴったりと同期している感じでした。気が付いたら,引き込まれていて,思えば,ドキュドラマ風な映像ではなくなってるよな,という......この辺り,舞台設定やストーリーだけではなく,映像の見せ方についてもよく設計され,作りこまれているという印象を受けました。
低予算ながら,全米興行1位になったそうだ。こういう映画が興収ナンバーワンを取れるあたり,まだまだアメリカの観客も捨てたもんではないという気がする。まぁ,観客の質以上に,この映画の出現そのものが事件だと思いますね。ただ,最初にやったもん勝ちだけどね。

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