2009年12月2日水曜日

月とダダ

ボクの好きなロックバンドにエレファントカシマシというのがあります。彼らのデビューが1988年。ちょうどボクが大学に入った年で。彼らの音を初めて聴いたのは,大学に入る前,ちょうど入試のころだと記憶しています。彼らの音楽の特徴は低音がしっかり主張したロックンロールにヴォーカル宮本浩次(ひろじ。「こうじ」と読む同姓同名のミュージシャンもいて紛らわしい。)のがなり声,そして彼が紡ぐ独特の詞と言えましょう。ダダイズムの影響を色濃くたたえた,ときおり厭世的とも言える詞。その言葉の洪水はデビューアルバムから2枚目,3枚目のアルバムとエスカレートしていき,4枚目の『生活』はその極北と言えましょう。収録曲は,「凡人」「偶成」「遁生」など。およそロックの曲名とは思えない。このアルバムは,賛否両論ありましたが,ボクは大好きで,「偶成」なんて聞きながら泣きましたからね。あんな経験なかなかないね。20世紀の名曲です。まぁ,当時はまったく売れなかったわけで,当時から20年来聴き続けている身としては,今そこそこ売れているのが信じ難くはあるわけだけれど,音楽性も微妙に変化してきたしね。
宮本浩次は太宰治の影響を受けていることはたびたび口にしているけれど,中原中也あたりの影響もあるのだと思います。記憶違いだったら困るが,何かで彼自身もそんなことを言っていたのではなかったろうか?確かに,エレカシの曲にも月をモチーフにしたものが多い。「月と歩いた」とか「月の夜」とか「月夜の散歩」とか...中也の詩にも月がたびたび出てきます。意識はしていないのだろうけれども,イメージの源流にはあるのかなぁ?という気がしますね。
で,なんでこんな話をしているかというと,湯田温泉は中也の出身地。街中には彼の歌碑もいくつか立っているし(写真上),SITA2009会場のホテルかめ福から歩いてすぐのところに中原中也記念館というのがあります(写真中)。僕自身も中也の詩には興味があるので,今日の午後,シンポジウムを抜け出して散歩がてら行ってきました。中では,彼の短歌や詩を堪能できるだけではなく,彼の兄弟や子供の死といったパーソナルな出来事が作品に与えた影響などもわかりやすく解説されていました。ゆっくり見ていたら 1時間半以上かかりました。発表用のスライド作ることなんてすっかり忘れていました (^^;
さて,ここ湯田温泉は白狐が見つけた湯ということで,白狐がマスコットキャラになっています。一番下の写真は駅前にある巨大な白狐です。中也記念館の2階には湯田温泉の歴史に関する展示もあり,そこには白狐が発見した説と,坊さんが見つけた説があるってことでしたが,まぁ,これらも含めて諸説あるそうです。てか,全部作り話じゃん?って疑惑はあるわけですが,そこに触れるのはご法度ですね。ロマンだもんね。

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